旅粒という冊子について
2007年から、「旅粒」という冊子をライターの山本曜子と作っています。
今年3月に六号を発行しましたが、ここまで来るのに8年。前号五号からは3年かかっての六号でした。
単に「雑誌」「情報誌」と考えると、とてもゆっくりだし、取り扱ってくれているお店(特に本をメインに販売するお店)にとっては扱いにくいことこの上ないだろうと思います。
私はこの小冊子を、私と山本のふたりが、それぞれに日々生きるという事を考え続けたその時点での答えのようなものと思っています。
考え続けても答えは出ないのだけれども、自分たちの小さなこだわりとか疑問とか、これがいいものだとかいう思いは、決して見逃したくない。
似た感覚を持ってはいるかもしれませんが、ひとつのものを、違ったふたりが作ると考えれば、とても大変な道のりです。
旅粒には「編集者」がふたりいます。「編集長」はいません。
いっこの企画についても何ヶ月も考える。
そして、いちおう
文章 山本曜子/デザイン・写真 佐藤史恵
とはしているけれど、どっちの領域にも口出しします。任せたりしない。
つまり、どの場面であっても、ふたりが「いいね」とならないと、決まらないのです。
これは、思った以上に時間がかかることなのだけど、この課程に私たちはじっくり向き合おうとします。
二人で共有して初めて前に進める。
単にそれは自分たちの中のものであって、受け手には特段伝えたりするつもりもないのですが、できあがったものの佇まいや空気感から感じ取ってくれているとわかった時に、やっててよかったな…としみじみ感じます。
それから、3年あたためていたものを(というか3年かかってしまっただけですが)、ようやく世に出した時点で自分の中ではいったん完了しているのだけれど、そこからは手に渡った人によって違う視点を貰えたりするのも新鮮だなと思います。
旅粒六号の内容はこちら
http://sa-plus-o.com/tabitsubu6/
http://www.tabitsubu.com/